情熱
北村透谷

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)情熱《イムパツシヨンド》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)情熱|畢竟《ひつきやう》するに

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)スウ※[#小書き片仮名ヰ、160−下−7]フト
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 ミルトンは情熱《イムパツシヨンド》を以て大詩人の一要素としたり。深幽と清楚《せいそ》とを備へたるは少なからず、然れどもまことの情熱を具有するは大詩人にあらずんば期すべからず。サタイアをもユーモアをも適宜に備ふるものは多くあれど、情熱を欠くが故に真正の詩人たらざるもの挙《あげ》て数ふべからず。情熱なきサタイアリストの筆は、諷刺の半面を完備すれども、人間の実相を刻むこと難し。ボルテーアとスウ※[#小書き片仮名ヰ、160−下−7]フトの偉大なるは、その諷刺の偉大なるに非ずして、其情熱の熾烈《しれつ》なるものあればなり。ユーモリストに到りては自《おのづか》ら其趣を異にすれども、之とても亦た隠約の間に情熱を有するに
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