かに燈を剪《き》つて書を読まんとするに、我が心はなほ彼にあり。我が読まんとする書は彼にあり。漠々たる大空は思想の広《ひ》ろき歴史の紙に似たり。彼処《かしこ》にホーマーあり、シヱークスピーアあり、彗星の天系を乱して行くはバイロン、ボルテーアの徒、流星の飛び且つ消ゆるは泛々《はん/\》たる文壇の小星、吁《あゝ》、悠々たる天地、限なく窮りなき天地、大なる歴史の一枚、是に対して暫らく茫然たり。
[#地から2字上げ](明治二十六年十一月)



底本:「現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集」筑摩書房
   1969(昭和44)年6月5日初版第1刷発行
   1985(昭和60)年11月10日初版第15刷発行
初出:「評論 十六號」女學雜誌社
   1893(明治26)年11月4日
入力:kamille
校正:鈴木厚司
2007年11月27日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全4ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
北村 透谷 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング