「歌念仏」を読みて
北村透谷

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)巣林子《さうりんし》の

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)菩提|心《ごゝろ》と

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+僉」、第3水準1−84−94]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)のび/\の
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

 巣林子《さうりんし》の世話戯曲十中の八九は主人公《ヒロイン》を遊廓内に取れり、其清潔なる境地より取り来りたる者は甚だ少数なる中《うち》に「お夏清十郎歌念仏」は傑作として知られたり。余は「歌念仏」を愛読するの余《あまり》、其女主人公に就きて感じたるところを有《あり》の儘《まゝ》に筆にせんとするのみ。若《も》し巣林子著作の細評を聴かんとする者あらば、逍遙先生又は篁村《くわうそん》翁が許《もと》へ行かるべし、余豈巣林子を評すと言はんや。
 中の巻の発端に「かゝる親には似ぬ娘、お夏は深き濡
次へ
全12ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
北村 透谷 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング