んでなかったら、都会《まち》さ稼ぎに出れッてるんだども……!」
――とうとうそう云った。
「俺……俺一緒にならない。」――健は苦しかった。
「…………※[#感嘆符疑問符、1−8−78]」
暗かったが、節の顔が瞬間化石したように硬わばったことを健は感じた。
「……考えることもあるんだ、俺小樽から帰ってから毎日毎日、一月《ひとつき》も考えた。……考えたあげく、とうとう決めることにしたんだ……俺は、旭川さ出る積りだよ。」
「……何しに?」
「うん?」
「何しによ?」
「後で分るよ……」
「…………」
――節は健のうしろにまわしている手を、何時の間にか離していた。
健は固い決心で旭川に出て行った。キヌの妹が見送ってきてくれた。
彼は、そして「農民組合」で働き出した。
[#地から1字上げ]――一九二九・九・二九――
底本:「日本プロレタリア文学集・26 小林多喜二集(一)」新日本出版社
1987(昭和62)年12月25日初版
初出:一〜十一、十六「中央公論」
1929(昭和4)年11月号
十二〜十五(「戦い」の表題で。)「戦記」
1929(昭和4)年12
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