と呼んで、抱かるるなど、一種の劇的場面があった。
妻君連は更に二十一日岸野氏宅に至り面会を求めるところがあった。
婦人争議団の一人伴君の女房語る。――私達は岸野様の奥様に面会して、農場を開くに苦心した当時の有様を詳しくお話し、そして今どんなに惨めな暮しをしているか申上げたいと思ったのです。ところが、岸野の御主人様は私共に「小樽に面白おかしく出て来たのか?――どの面さげて小樽に出てきたんだ。」とか、「真人間になって出直して来い。」とか云われました。――真人間になれッて、どんな事かチットモ私共には分りません。
然し、女なら女同志、この苦しいことが分って頂けると思って、ようやく奥様にお会い出来て、お話しました。どうでしょう! ところが!
「お前達の顔も見たくない!」いきなり大声で叱りつけられました。
これは意外でした。――私共は家を出るとき、皆さんにキット奥様の温いお言葉を頂いて帰ると云って来たのでした。
「お前等のために、この何十日ッてもの夜も満足に眠れたことがないんだ。――この恩知らず奴!」
私共は申しました。「いいえ奥様、貴女は夜もおちおち眠れないと仰言《おっしゃ》いましたが
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