り早く纏った。
 武田と佐々爺は「何んとか外にないか」「何んとかなア……」と云っていた。
 伴外一名が代表になって村長へ「口頭」で、小作調停裁判を申請した。村長は「遅滞なく」そのことを旭川地方裁判所へ提出した。それが「受理」されると同時に、小作米の差押えが解除された。――小作人はどうかした拍子に「かなしばり」がとけた時のような身軽さを感じた。――「やれ、やれ。」
 小作米は直ぐH町の「農業倉庫」に預け入りして、「倉荷証券」にした。それは何時でも現金にすることが出来るようになった。

     「小作官」

 道庁から「小作官」がやってきた。黒の折鞄を抱えた左肩を少し上げて、それだけを振って歩いた。伴の家へ上ると、茣蓙敷のホコリとズボンの膝を気にした。窮屈に坐った。話をききながら、「朝日」を吸った。――何本も何本も続けて吸う、しばらくもしないうちに、白墨の杭のように、炉の灰の中に殻が突きささった。
 阿部が伴に代って、初めから順序をつけて詳しく話した。
「ム――、それア、岸野さんにチィ――ト無理なところがあるね。」
「何がチィ――トだい!」
 帰ってから、伴が小作官の真似をして、皆を笑わ
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