***として、****この*******積りだと云った。「えゝ?」上田のお母アは突然大声をあげて叫んだ、「こら、進! お前えお母アば忘れたのか?――あ、あ――この野郎! 畜生!」そして立ち上がってしまった。廷丁や巡査が馳《か》けつけて来て、大声で叫んでいる上田のお母アを法廷の外へ連れ出してしまった。上田は然し振りかえらなかった。だが、後から見ると、頭を深く深く、垂れていた。
 最後は大川だった。彼は何べんうながされても、なかなか云わなかったが、自分の家があまり困っているので、外へ出たら運動をやめて働いて行きたいと云った。大川は港湾労働者で、仲仕をしていた。おかみさんはそれを聞くと、お前の母に少し気兼ねしたように、抱いていた自分の子供に頬《ほお》ずりをした。

 窪田さんはこう云っているの。――監獄《なか》では大体にやっぱり労働者出身のものが、******して、*****ている。ところが、外《そと》では丁度その反対になっている。これはどうしても直さなければならないッて。お前は今運動が一番進んでいる中心地にいる。今度はこっちのことをどう考えるか、お前の手紙を待っている。
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