た黒田という人は、立ち上って、「裁判長がそのような問いを発すること自体が、われ/\*****を**するものである。******というものは後で考えていて間違っていたから**するというようなものではないのだ。それは**されている労働者農民が、その**の**から**を**するための***なものなのだ。われ/\は****もこの**を***ものではないことを、全われ/\同志を代表して云っておく。」と叫んだ。この時、傍聴していた若い男が拍手をして、法廷の外へ引ずり出された。「他人のことまで云わなくてもいゝ」裁判長はそう云って、次に山崎に同じ質問を発した。山崎は立ち上がると、しばらくモジ/\していたが、低い声で裁判長の方に向って何か云った。裁判長は白い髯《ひげ》を噛みながら、「本当にやめる心積《つも》りか?」と訊きかえした。「そうです、考えるところがあって……。」山崎は頭を伏せたまゝブツ/\と云った。今まで眼をみはり首をのばしてきいていた山崎のお母さんはガクリと首を胸の前に落してしまった。そしてお前の母にも誰にもものを云わずに、外へ出て行ってしまった。お前の母はオヤと思って振りかえると、その眼には
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