を奪カンせよ!」と書かれているビラを見た。ストライキとデモで……お君は口の中でくりかえして見た……我等の前衛を奪カンせよ。――日本中の工場がみんなその為にストライキを起したら、そうだ、その通りだと思った。お君は不意に走り出した。何かジッとしていられない気持になったのだ。皆の所へ行かなければならないと思った。
「さ、坊や、お父ちゃんが帰ってくるんだよ。お父ちゃんが!![#「!!」は一文字、面区点番号1−8−75、454−下12]」
お君は背中の子供をゆすり上げ上げ、炎天の下を走った。
底本:「日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集(七)」新日本出版社
1985(昭和60)年3月25日初版
1989(平成元)年3月25日第4刷
底本の親本:「小林多喜二全集第三巻」新日本出版社
初出:「労働新聞」1931年9月3日号
入力:林 幸雄
校正:ちはる
2002年1月14日公開
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの
前へ
次へ
全5ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小林 多喜二 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング