出ない。すると六時迄仕事をするために、かえって一日の貰《もら》い分が減るという状態なのである。それは賃銀を下げるぞと云わずに、実際では賃銀を下げているやり方なので、みんなは「人を馬鹿にしてる」と云って、憤慨し出した。伊藤のいるパラシュートでは、六時まで居残りのときは「弁当代を出して貰《もら》わなければ、どうもならん」と、云っている。
そればかりでなく、最近では働く時間が十時間なら十時間と云っても、もとゝはすっかりちがっていた。本工に組み入れられるかも知れないというので、みんなの働きは見違えるほど拍車がかけられていた。前には仕事をしながら隣りと話も出来たし、キヌちゃん式に前帯に手鏡を吊《つる》して、時々\覗《のぞ》きこむことが出来たが、今ではポタ/\落ちる汗さえ袖《そで》で拭《ぬぐ》う暇がない。パラシュートなどは電気アイロンを使うので、汗でぐッしょりになる。拡げたパラシュートに汗がポタ/\落ちた。――出来高からみると、会社は以前の四〇%以上も儲《もう》けていることが分った。それに拘《かかわ》らずもと通りの賃銀しか払わないのである。それは実際に仕事をしている職工たちにはよく分った。――が
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