休になると皆はそこへ上って行って、はじめて陽の光りを身体一杯にうけて寝そべったり、話し込んだり、ふざけ廻ったり、バレー・ボールをやったりした。その日はコンクリートの床に初夏の光が眩《まぶ》しいほど照りかえっていた。須山は自分のまわりに仲間を配置して、いざという時の検束の妨害をさせる準備をしておいた。
 一時に丁度十五分前、彼はいきなり大声をあげて、ビラを力一杯、そして続け様に投げ上げた。――「大量馘首絶対反対だ!」「ストライキで反対せ!」……あとは然し皆の声で消されてしまった。赤と黄色のビラは陽をうけて、キラ/\と光った。ビラが撒《ま》かれると、みんなはハッとしたように立ち止まったが、次にはワアーッと云って、ビラの撒かれたところへ殺到してきた。すると、そのうちの何十人というものが、ムキになって拾いあげたビラを、てんでに高く撒きあげた。それで最初一カ所で撒かれたビラは、またゝく間に六百人の従業員の頭の上に拡がってしまった。――こんなことがあるだろうと、予《あらかじ》め屋上の所々に立ち番をしていた守衛は、「こら、こら! ビラを拾っちゃいかん!」と声を限り叫んで割り込んできたが、さて誰が撒い
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