山が云った。
 私たちは今日の決定通りに準備をすすめ、二十六日の夜モウ一度会うことにして、
「じア……」と立ち上がった。そのとき私と須山はそんなことをしようとは考えてもいなかったのに、部屋の真ん中に突ッ立ったまゝ両方から力をこめて手を握り合っていた。
 フト須山は子供のようにテレ[#「テレ」に傍点]て、
「何んだ、佐々木の手は小《ち》ッちゃいな!」
と、私に云った。

 須山は外へ出ながら、モウこれからは機会もないだろうと思って、私の家《うち》に寄ってきたと云った。「君のおふくろは、合う度に何んだか段々こう小さくなって行くようだ。」と云った。
「…………?」
 私は何を云うんだろうと思った。が、フイにその「段々小さくなってゆく」という須山の言葉は、私の心臓を打った。私はその言葉のうちに、心配事にやつれてゆく母の小さい姿がアリアリと見える気がした。――が、こういう時にそんな事を云う奴もないものだ、と思った。私はさりげなく、たゞ「そうだろうな……」と云って、その話の尻《しり》を切ってしまった。
 須山と別れてから、伊藤が次の連絡まで三十分程間があるというので、私と少しブラブラすることになっ
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