ひどく痛かった。見開くことができなかった。龍介は高いところから落ちた子供が、息がつまって、しばらくの間泣けないでいるように、動かずにじいとしていた。動けなかった。彼はしばらくその恰好のままでいた。
 雪が彼の上にかすかな音をさして降っているのを感じた。が、彼はじいとしていた。



底本:「日本文学全集43 小林多喜二 徳永直集」集英社
   1967(昭和42)年12月12日発行
※「×」は、底本が用いた伏せ字用の記号です。
入力:林 幸雄
校正:浅原庸子
2005年1月16日作成
青空文庫作成ファイル:
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