わせている。言葉が吃《ども》った。
「国民の味方だって? ……いやいや……」
「馬鹿な! ――国民の味方でない帝国の軍艦[#「国民の味方でない帝国の軍艦」に傍点]、そんな理窟なんてある筈《はず》があるか※[#感嘆符疑問符、1−8−78]」
「駆逐艦が来た!」「駆逐艦が来た!」という興奮が学生の言葉を無理矢理にもみ潰《つぶ》してしまった。
 皆はドヤドヤと「糞壺」から甲板にかけ上った。そして声を揃《そろ》えていきなり、「帝国軍艦万歳」を叫んだ。
 タラップの昇降口には、顔と手にホータイをした監督や船長と向い合って[#「向い合って」に傍点]、吃り、芝浦、威張んな、学生、水、火夫等が立った。薄暗いので、ハッキリ分らなかったが、駆逐艦からは三艘汽艇が出た。それが横付けになった。一五、六人の水兵が一杯つまっていた。それが一度にタラップを上ってきた。
 呀《あ》ッ! 着剣《つけけん》をしているではないか! そして帽子の顎紐《あごひも》をかけている!
「しまった!」そう心の中で叫んだのは、吃りだった。
 次の汽艇からも十五、六人。その次の汽艇からも、やっぱり銃の先きに、着剣した、顎紐をかけた水兵! 
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