「ピストル持ってたって、こうなったら駄目だべよ」
 吃りの漁夫が、一寸《ちょっと》高い処に上った。皆は手を拍《たた》いた。
「諸君、とうとう来た! 長い間、長い間俺達は待っていた。俺達は半殺しにされながらも、待っていた。今に見ろ、と。しかし、とうとう来た。
「諸君、まず第一に、俺達は力を合わせることだ。俺達は何があろうと、仲間を裏切らないことだ。これだけさえ、しっかりつかんでいれば、彼奴等如きをモミ[#「モミ」に傍点]つぶすは、虫ケラ[#「ケラ」に傍点]より容易《たやす》いことだ。――そんならば、第二には何か。諸君、第二にも力を合わせることだ。落伍者を一人も出さないということだ。一人の裏切者、一人の寝がえり者を出さないということだ。たった一人の寝がえりものは、三百人の命を殺すということを知らなければならない。一人の寝がえり……(「分った、分った」「大丈夫だ」「心配しないで、やってくれ」)……
「俺達の交渉が彼奴等をタタキのめせるか、その職分を完全につくせるかどうかは、一に諸君の団結の力[#「団結の力」に傍点]に依るのだ」
 続いて、火夫の代表が立ち、水夫の代表が立った。火夫の代表は
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