一九二八年三月十五日
小林多喜二
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)尾行《つけ》られた
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「纏」の「广」に代えて「厂」、71−11]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ビク/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
×:伏せ字
(例)××は臺所から
−−
一
お惠には、それはさう仲々慣れきることの出來ない事だつた。何度も――何度やつてきても、お惠は初めてのやうに驚かされたし、ビク/\したし、周章てた。そして、又その度に夫の龍吉に云はれもした。然し女には、それはどうしても強過ぎる打撃だつた。
――組合の人達が集つて、議題を論議し合つてゐるとき、お惠がお茶を持つて階段を上つて行くと、夫の聲で、
「嬶の意識の訓練となると、手こずるつて……。」さう云つてゐるのを一度ならず聞いた。
「××は臺所から――これは動かせない公式だからなあ。小川さん、甘い、甘い。
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