3水準1−92−18]は聞いてみた。
「あれは宋の秦檜《しんかい》さ、忠良を害し、君を欺き、国を滅したから、こんな重罪を受けておる、他の者も皆国を誤ったもので、この者どもは、国の命が革《あらた》まるたびに、引出して、毒蛇に肉を噬《か》まし、飢鷹に髓を啄《つつ》かすのだ、それで、肉が腐り爛《ただ》れてなくなると、神水をかけて業風《ごうふう》に吹かすと、また本の形になる、こんな奴は、億万|劫《ごう》を経ても世には出られないよ」
 ※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]はもう家へ還りたくなった。
「もういい、家へ還りたい」
 鬼使は※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]を送ってそこを出た。そしてすこし歩くともう※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]の家であった。※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]はもう送って貰わなくてもよかった。
「もういい、ここでたくさんだ、還って貰おう、しかし、何もお礼をするものがなくて気の毒だ」
 すると鬼使が笑った。
「お礼はいらない、それよりか、また詩を作って、世話をかけないようにして貰おう」
 ※[#「言+饌のつ
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