って気が注《つ》いたように】今日はもう帰ろう、わしの家へ行こうじゃないか。この前に葉生の話した捜神記《そうしんき》の瓜《うり》を乞うた術者の話から、種梨《しゅり》という面白い話をこしらえてあるから、見せるよ。
李希梅 はい。
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蒲留仙が起ちあがって硯の始末をはじめだす。李希梅は時時やって慣れているように、壷をしまってそれを左の胸に抱え、右の手に二本の煙管と皮袋などを持って起つ。蒲留仙は硯を右の手に持ち、左の手に紙と筆とを持ってやっとこさと腰をあげる。
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蒲留仙 さあ帰ろうかね。【といって李希梅の拾って来た書籍に気が注《つ》いて紙と筆とを持って手に取り】明日にでも返してやろうじゃないか。
季希梅 は。
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底本:「聊斎志異」明徳出版社
1997(平成9)年4月30日初版発行
底本の親本:「支那文学大観 第十二巻(聊斎志異)」支那文学大観刊行会
1926(大正15)年3月発行
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2008年3月4日作成
青空文庫作成ファイル:
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