劉海石
田中貢太郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)劉海石《りゅうかいせき》
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(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「女+息」、第4水準2−5−70]《よめ》
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劉海石《りゅうかいせき》は蒲台《ほだい》の人であった。十四歳の時にその地方に戦乱が起ったので、両親に従《つ》いて浜州《ひんしゅう》に逃げて往って、其処に住んでいたが、その浜州に劉滄客《りゅうそうかく》という者があって、同じ教師について学問をした関係から仲が好くなって、とうとう義兄弟の約束をした。
間もなく海石の両親が亡くなり、海石はその遺骨を奉じて蒲台の故郷へ帰ったので、二人の間の音問《おんもん》は絶えてしまった。
滄客の家は頗る裕《ゆたか》であった。年は四十になったところで二人ある児《こども》のうち、長男の吉というのは、十七歳で邑《ゆう》の名士となり、次男もまた慧《りこう》であった。滄客はそのとき、邑の倪《げい》という家の女《むすめ》を妾にしてひどく愛していたが、半年ばかりし
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