陸判
田中貢太郎
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)陵陽《りょうよう》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)その時|呉侍御《ごじぎょ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「門<韋」、第4水準2−91−59]
[#…]:返り点
(例)[#レ]
−−
陵陽《りょうよう》の朱爾旦《しゅじたん》は字《あざな》を少明《しょうめい》といっていた。性質は豪放であったが、もともとぼんやりであったから、篤学の士であったけれども人に名を知られていなかった。
ある日同窓の友達と酒を飲んでいたが、夜になったところで友達の一人がからかった。
「君は豪傑だが、この夜更けに十王殿へ往って、左の廊下に在る判官をおぶってくることができるかね、できたなら皆で金を出しあって君の祝筵《しゅくえん》を開くよ」
その陵陽には十王殿というのがあって、恐ろしそうな木像を置いてあるが、それが装飾してあるので生きているようであった。それに東の廊下にある判官の木像は、青
次へ
全16ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
田中 貢太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング