雷峯塔物語
田中貢太郎

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)西湖《せいこ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)杭州城内|過軍橋《かぐんきょう》

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   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「奚+隹」、第3水準1−93−66]
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 支那に遊んで杭州の西湖《せいこ》へ往った者は、その北岸の山の上と南岸の湖縁《こべり》とに五層となった高い大きな塔の聳えているのを見るであろう。そして、南岸の湖縁の丘の上に聳えた赭《あか》い塔の夕陽に照された雄大な姿には、わけて心をひかれるであろう。その南岸の雄大な塔は、西湖十景の一つにかぞえられた雷峯塔《らいほうとう》で、北岸のは保叔塔《ほうしゅくとう》である。そのうちで雷峯塔は呉越王妃《ごえつおうひ》黄氏《こうし》の建立《こんりゅう》したものであるが、西湖の伝説を集めた『西湖佳話』では奇怪な因縁から出来あがったものとなっている。
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 宋の高宗帝が金の兵に追わ
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