気が遠くなって、死人のようになって人波に揉まれておりました。そのうちに婆さんの髪の毛が一本も無くなって、尼さんの天窓《あたま》になりますと、皆の者は婆さんを捨てて門跡様の行列を追って雪崩れて往きました。私もその雪崩の中へ巻きこまれて往きましたから、その婆さんはどうなったか知りませんが、ほんとうに可哀そうでございました。しかし、これが仏様の思召しでございましょう。なむあみだぶ、なむあみだぶ。
底本:「日本の怪談(二)」河出文庫、河出書房新社
1986(昭和61)年12月4日初版発行
底本の親本:「日本怪談全集」桃源社
1970(昭和45)年初版発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
※「頭をお駕籠の中へ突き入れました」の箇所は、底本では「頭をお駕籠へ中へ突き入れました」でしたが、親本を参照して直しました。
入力:Hiroshi_O
校正:小林繁雄、門田裕志
2003年8月2日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作ら
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