「灯《ひ》を持て、灯を持て、曲者をしとめた」
遠くの方で返事があったが、暫くすると庭の方に灯が見えて二人の侍が来た。
「小供の形をした曲者をしとめた、そのあたりを捜して見よ」
光長が矢を持った手を庭の方にさした。侍は庭の中を彼方此方捜して歩いた。矢が落ちているだけで何も見えなかった。
翌朝になって光長は己《じぶん》で庭へ出て見た。昨夜少年の角力をとっていたあたりに、一匹の黒蟻と牛蝨《だに》が並んで死んでいた。
底本:「日本の怪談」河出文庫、河出書房新社
1985(昭和60)年12月4日初版発行
底本の親本:「日本怪談全集」桃源社
1970(昭和45)年初版発行
入力:大野晋
校正:松永正敏
2001年2月23日公開
2001年2月24日修正
青空文庫作成ファイル:
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