雪女
田中貢太郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)多摩川《たまがわ》縁《べり》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)毎日|木樵頭《さきやま》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「女+交」、第4水準2−5−49]
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多摩川《たまがわ》縁《べり》になった調布《ちょうふ》の在に、巳之吉《みのきち》という若い木樵《きこり》がいた。その巳之吉は、毎日|木樵頭《さきやま》の茂作《もさく》に伴《つ》れられて、多摩川の渡船《わたし》を渡り、二里ばかり離れた森へ仕事に通っていた。
ある冬の日のことだった。平生《いつも》のように二人で森の中へ往って仕事をしていると、俄に雪が降りだして、それが大吹雪になった。二人はしかたなしに仕事を止《や》めて帰って来たが、渡頭《わたし》へ来てみると、渡船《わたし》はもう止まって、船は向う岸へつないであった。
二人はどうにもならないので、河原の船頭小屋へ入った。船頭小屋には火もなく、二畳ほどの板敷がある
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