青蛙神
田中貢太郎

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)灌水《かんすい》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)十|娘《じょう》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「号+鳥」、第3水準1−94−57]《ふくろう》
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 揚子江と灌水《かんすい》の間の土地では、蛙の神を祭ってひどく崇《あが》めるので、祠《ほこら》の中にはたくさんの蛙がいて、大きいのは籠ほどあるものさえある。もし人が神の怒りにふれるようなことがあると、その家はきっと不思議なことがあって蛙がたくさんきて几《つくえ》や榻《ねだい》であそんだり、ひどいのになると滑《なめら》かな壁を這いあがったが堕《お》ちなかった。そのさまは一様でなかったが、その家に悪いしらせがあると、人びとはひどく恐れて、牲《にえ》を供えて禳《はろ》うた。神が喜んでうけいれてくれると、その不思議がなくなるのであった。
 楚に薛崑《せつこん》という者があった。小さい時から慧《りこう》で、姿容《きりょう》がよ
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