考城隍
蒲松齢
田中貢太郎訳

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)予《わたし》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)春|常《つね》に

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「壽/れっか」、第3水準1−87−65]

 [#…]:返り点
 (例)有[#レ]心無[#レ]心
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 予《わたし》(聊斎志異の著者、蒲松齢)の姉の夫の祖父に宋公、諱を※[#「壽/れっか」、第3水準1−87−65]《とう》といった者があった。それは村の給費生であったが、ある日病気で寝ていると、役人が牒《つうちじょう》を持ち、額《ひたい》に白毛のある馬を牽《ひ》いて来て、
「どうか試験にいってくださるように。」
 といった。宋公は、
「まだ試験の時期じゃない。何の試験をするのだ。」
 といって承知しなかった。役人はそれには返事をせずに、ただどうかいってくれというので、しかたなしに病をおして馬に乗ってついていった。
 その路《みち》はまだ一度も通ったことのない路であっ
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