いると、どこからか死んだ女の顔が見えてきて、
「私はお父さんにしいられて、劉祥に縁づかされましたが、あなたのことを思いつめて死にました、しかし私の体は、まだ真実《ほんと》に死んでおりませんから、あなたと夫婦になることができます、塚を発《あば》いて、棺の中から私の体を出してください」
 と言った。で、道平は墓の門を開けて中へ入り、棺の蓋を取ってみると、女は生きかえったので伴《つ》れて家へ帰ってきた。
 すると、女の夫の劉祥が州県《やくしょ》へ訴えた。州県では法律に当てはめて裁判しようとしたが、その法律がないので、しかたなしに秦王の処へ奏上すると、秦王は王道平の妻にすべきものであると言ったので、道平は女と夫婦になった。



底本:「中国の怪談(一)」河出文庫、河出書房新社
   1987(昭和62)年5月6日初版発行
底本の親本:「支那怪談全集」桃源社
   1970(昭和45)年発行
入力:Hiroshi_O
校正:noriko saito
2004年11月3日作成
青空文庫作成ファイル:
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