いた。
また半年ばかりして胡が不意にきて、暑い寒いの挨拶をしてから、
「妹が大きくなりました、佳い日を定めて御夫婦に事《つか》えさしたいと思います」
と言った。主人は喜んだ。そこで期日を打ち合わして胡は帰って往った。
その日がきて夜になると果して輿馬《よば》の一行が新婦を送ってきた。嫁入り道具が非常に多くて、室の中に陳《なら》べてみると室の中に一ぱいになった。
新婦は舅姑《しゅうと》に逢った。その新婦の容色《きりょう》がきれはなれて美しかったので、主人は喜んだ。胡は一人の弟と妹を送ってきていたが、二人とも話すことが風雅で、それでまた二人ともよく飲んだ。そして、夜明けになって帰って往った。
新婦は豊年と凶年を知っていた。生活上のことは新婦の言葉に従ってやった。胡の兄弟及び母親は、時どき女に遇いにきたので村の人は皆それを見た。
底本:「中国の怪談(二)」河出文庫、河出書房新社
1987(昭和62)年8月4日初版発行
底本の親本:「支那怪談全集」桃源社
1970(昭和45)年発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:Hiroshi_O
校正:noriko saito
2004年9月25日作成
青空文庫作成ファイル:
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