云うことになって二人の縄を少しゆるめてやった。
と、見るまに一人は鼠となって、磔の柱に飛びつくが早いか、つるつると上に登って往った。警固の士《さむらい》は驚いて一方の男を捕えようとすると、その男の体は鳶になってばたばたと縄を解いて空にあがり、ひろ、ひろ、ひろと鳴きながらその上を舞っていたが、機を見て降りて来て彼の鼠を掴んで何処《いずこ》ともなく逃げて往った。警固の士は呆気にとられてそれを見送った。
底本:「日本の怪談(二)」河出文庫、河出書房新社
1986(昭和61)年12月4日初版発行
底本の親本:「日本怪談全集」桃源社
1970(昭和45)年初版発行
入力:Hiroshi_O
校正:小林繁雄、門田裕志
2003年7月24日作成
青空文庫作成ファイル:
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