雪中行
小樽より釧路まで
石川啄木
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)橇《そり》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)白石|厚別《あつべつ》を過ぎて
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「闃」の「目」に代えて「自」、14−9]《げき》として
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)そこ/\に朝飯を済まして
−−
(第一信) 岩見沢にて
一月十九日。雪。
僅か三時間許りしか眠らなかつたので、眠いこと話にならぬ。頬を脹らして顔を洗つて居ると、頼んで置いた車夫が橇《そり》を牽《ひ》いて来た。車夫が橇を牽くとは、北海道を知らぬ人には解りツこのない事だ。そこ/\に朝飯を済まして橇に乗る。いくら踏反返《ふんぞりかへ》つて見ても、徒歩で歩く人々に見下ろされる。気の毒ながら威張つた甲斐がない。
中央小樽駅に着きは着いたが、少しの加減で午前九時の下り列車に乗後れて了つた。仕方なさに東泉先生のお宅へ行つて、次の
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