竄カ》め、追っかけるようにまた一句投げつけるじゃないか。
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薄縁《うすべり》に尿《いばり》して逃る蛙かな
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といってね。相手怖さからおれが縁側にうっかり持病の小便をもらしたのを見つかったんだね。」
雨蛙は申訳がなさそうに滑《すべ》っこい頭をかきました。
「は、は、は、は。こいつは笑わせるよ。は、は、は。」蝸牛はたまらぬように笑いこけました。その拍子に雨除け眼鏡があぶなくはずれかかろうとしたのをやっともとへ直しながら、「一茶という奴、おかしな野郎だな。だが、もっと外にもあるはずだが……たしか小野道風とかいった……」
「小野道風……」雨蛙は忘れた名前をふるい出すように、二、三度頭を横にふりました。
「そんな人は知らないよ。ねっから記憶《おぼえ》がないようだ。」
「記憶《おぼえ》がないはずはない。あの人の名前をお前に忘れられたら、大変なことになる……」
蝸牛はこう言って、先刻従弟のなめくじに聞いたことを話して聞かせました。
それは小野道風といった名高い書家が、まだ修業盛りの頃、どうも一向芸が上達しないので、すっかり嫌気がさして、雨の降る
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