ト、その下を小ぢんまりと蘆垣で囲っているのがあった。主人は五十ばかりの法体で、松の小枝に瓢をつるし、その下で静かに茶を煮ていた。
 ものずきな太閤が、ずかずかと傘の下に入って往って、
「どうだ。ここにも茶があるのかい。」
と大声に訊かれると、主人はつつましやかに、
「はい。用意いたしております。」
と言いざま、天目茶碗に白湯をくみ、瓢から香煎《こうせん》をふり出して、この珍客にたてまつった。その法体の主人こそ、別でもない山科の丿観で、その日の高く取り澄した心憎さは、いまだに利休の心に軽い衝動を与えずにはおかなかった。
 利休は潜り戸を開けて、なかに入った。見ると、すぐ脚もとに新しく掘ったばかしの坑があり、簀子をその上に横たえて、ちょっと見に分らぬように土が被せかけてあった。
「これだな、主人の趣向は。」
 客はその瞬間、すぐに主人の悪戯《いたずら》を見てとった。平素から客としての第一の心得は、主人の志を無駄にしないことだと、人に教えもし、自分にも信じている彼は、何の躊躇もなく脚をその上に運んだ。すると、簀の子はめりめりとへし折れる音がして、客はころころと坑のなかに転げ込んだ。
 異様な
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