「ましたが、二、三度羽ばたきをしたかと思うと、ついと家の外へ飛び出してしまいました。
「ほう、羊飼が梟になりおった。気の毒なことをしたな。だが、あれよりも可憫《かあい》そうなのは私だよ。無駄口一つきく事が出来ないのだからな。」
 キリストはそれを見て、心のなかでこんなことを思いました。そして神の子に生れて、摩訶不思議な力を持っているものの世間の狭さ、窮屈さを思って、微かな溜息をもらしました。

     2

 その後、キリストはまた多くの弟子達を連れて、ユダヤのある村を通りかかった事がありました。村端れには柳の並木の美しい野原が続いていました。
 その日はぽかぽか暖か過ぎるほどの上天気だったので、キリストは上衣を脱いで、一本の柳の枝に掛けました。そして彼は村人の多くがこの救世主の説教を聴こうとして待合せている野の傾斜をさして歩き出しました。
 説教のすばらしい出来に満足したキリストは、足どりも軽く柔い草を踏んで、柳の並木に帰って来ました。しかし、いくら捜しても、彼の上衣と、その上衣を掛けておいた柳の木はそこらに見つかりませんでした。
「てっきり柳の木があの上衣を持逃げしたのだ。あれは
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