G誌に現われた文句は次のようになっていた。
“We bray too loud and work too little.”
 Bray は「驢馬のように啼く」という言葉だ。それを見た牧師は、心から微笑《ほほえ》まぬわけに往かなかった。そして感心したように人に話した。
「植字工のしたことは、全くほんとうですね。正誤など書き送る気は更にありませんよ。」
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   救済

 滑稽作家マアク・トウェンのところへ、ふだん懇意にしているある娘から、近頃身体の加減がよくないことを訴えて来たので、作家は保健用の電気帯でも買ってみたらどうかと知らせてやったことがあった。
 すると、暫く経ってから、その娘から手紙が来た。なかに次のような文句があった。
「お言葉に従いまして、私は電気帯を一つ求めました。ですが、一向に助かりそうとは思われません。」
 作家はすぐに返事を認めた。
「私は助かりました。会社の在庫品が一つ捌《は》けましたので。」
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   良人改造

 会社|官衙《かんが》の昼間の勤めをすませて、夕方早く家に帰って来べきはずの良人が、途中でぐれて、外で夜更しをするという
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