らずば、二十世紀の輕薄に滿足するひやうろく玉に候。
 もし死ぬならば神經衰弱で死んだら名譽だらうと思ふ。時があつたら神經衰弱論を草して天下の犬どもに犬である事を自覺させてやりたいと思ふ。
 大分あつた[#「た」に「〔く〕」の注記]なつた。[#注記の「く」は底本では欠落]拙宅疊替なり。書齋をかへる時は大騷ぎ中川先生と今一人を手傳にたのみたいと思ふ 艸々不一
        六月六日
[#地から9字上げ]金
     三重吉樣

          三六六
 明治三十九年六月十九日 午後六時―七時 本郷區駒込千駄木町五十七番地より廣島市猿樂町鈴木三重吉へ [はがき]
 漾虚集の誤植御報知難有候三版には大分正さねばならぬ。
 神經衰弱論をかゝうと思つて居る。僕の結論によると英國人が神經衰弱で第一番に滅亡すると云ふのだが名論だらう。いづれ出たら讀んでくれ玉へ

          三八九
 明治三十九年八月十二日 午後十一時―十二時 本郷區駒込千駄木町五十七番地より山口縣玖珂郡由宇村三國屋鈴木三重吉へ [はがき]
 君は一人で大きな屋敷に居るよし。御大名の樣でよからうと思ふ。僕例の如く多忙長い
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