踏《ふ》んで夜なかに下宿へ帰るほど馬鹿気た事はない。四五日《しごんち》すると、うちの婆さんが少々心配を始めて、奥《おく》さんのおありるのに、夜遊びはおやめたがええぞなもしと忠告した。そんな夜遊びとは夜遊びが違う。こっちのは天に代って誅戮《ちゅうりく》を加える夜遊びだ。とはいうものの一週間も通って、少しも験《げん》が見えないと、いやになるもんだ。おれは性急《せっかち》な性分だから、熱心になると徹夜《てつや》でもして仕事をするが、その代り何によらず長持ちのした試しがない。いかに天誅党でも飽《あ》きる事に変りはない。六日目には少々いやになって、七日目にはもう休もうかと思った。そこへ行くと山嵐は頑固《がんこ》なものだ。宵《よい》から十二時|過《すぎ》までは眼を障子へつけて、角屋の丸ぼやの瓦斯燈《がすとう》の下を睨《にら》めっきりである。おれが行くと今日は何人客があって、泊《とま》りが何人、女が何人といろいろな統計を示すのには驚ろいた。どうも来ないようじゃないかと云うと、うん、たしかに来るはずだがと時々|腕組《うでぐみ》をして溜息《ためいき》をつく。可愛想に、もし赤シャツがここへ一度来てくれなけ
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