しからん、両君は実に災難だと云った。
帰りがけに山嵐は、君赤シャツは臭《くさ》いぜ、用心しないとやられるぜと注意した。どうせ臭いんだ、今日から臭くなったんじゃなかろうと云うと、君まだ気が付かないか、きのうわざわざ、僕等を誘い出して喧嘩のなかへ、捲《ま》き込《こ》んだのは策だぜと教えてくれた。なるほどそこまでは気がつかなかった。山嵐は粗暴《そぼう》なようだが、おれより智慧《ちえ》のある男だと感心した。
「ああやって喧嘩をさせておいて、すぐあとから新聞屋へ手を廻してあんな記事をかかせたんだ。実に奸物《かんぶつ》だ」
「新聞までも赤シャツか。そいつは驚いた。しかし新聞が赤シャツの云う事をそう容易《たやす》く聴《き》くかね」
「聴かなくって。新聞屋に友達が居りゃ訳はないさ」
「友達が居るのかい」
「居なくても訳ないさ。嘘をついて、事実これこれだと話しゃ、すぐ書くさ」
「ひどいもんだな。本当に赤シャツの策なら、僕等はこの事件で免職になるかも知れないね」
「わるくすると、遣《や》られるかも知れない」
「そんなら、おれは明日《あした》辞表を出してすぐ東京へ帰っちまわあ。こんな下等な所に頼《たの》ん
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