いきなり、一番喧嘩の烈《はげ》しそうな所へ躍《おど》り込《こ》んだ。止《よ》せ止せ。そんな乱暴をすると学校の体面に関わる。よさないかと、出るだけの声を出して敵と味方の分界線らしい所を突《つ》き貫《ぬ》けようとしたが、なかなかそう旨《うま》くは行かない。一二間はいったら、出る事も引く事も出来なくなった。目の前に比較的《ひかくてき》大きな師範生が、十五六の中学生と組み合っている。止せと云ったら、止さないかと師範生の肩《かた》を持って、無理に引き分けようとする途端《とたん》にだれか知らないが、下からおれの足をすくった。おれは不意を打たれて握《にぎ》った、肩を放して、横に倒《たお》れた。堅《かた》い靴《くつ》でおれの背中の上へ乗った奴がある。両手と膝を突いて下から、跳《は》ね起きたら、乗った奴は右の方へころがり落ちた。起き上がって見ると、三間ばかり向うに山嵐の大きな身体が生徒の間に挟《はさ》まりながら、止せ止せ、喧嘩は止せ止せと揉み返されてるのが見えた。おい到底駄目だと云ってみたが聞えないのか返事もしない。
 ひゅうと風を切って飛んで来た石が、いきなりおれの頬骨《ほおぼね》へ中《あた》ったなと
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