と呑気《のんき》な声を出して、妙な謡《うた》をうたいながら、太鼓をぼこぼん、ぼこぼんと叩《たた》く。歌の調子は前代未聞の不思議なものだ。三河万歳《みかわまんざい》と普陀洛《ふだらく》やの合併《がっぺい》したものと思えば大した間違いにはならない。
歌はすこぶる悠長《ゆうちょう》なもので、夏分の水飴《みずあめ》のように、だらしがないが、句切りをとるためにぼこぼんを入れるから、のべつのようでも拍子《ひょうし》は取れる。この拍子に応じて三十人の抜き身がぴかぴかと光るのだが、これはまたすこぶる迅速《じんそく》なお手際で、拝見していても冷々《ひやひや》する。隣《とな》りも後ろも一尺五寸以内に生きた人間が居て、その人間がまた切れる抜き身を自分と同じように振《ふ》り舞《ま》わすのだから、よほど調子が揃《そろ》わなければ、同志撃《どうしうち》を始めて怪我《けが》をする事になる。それも動かないで刀だけ前後とか上下とかに振るのなら、まだ危険《あぶなく》もないが、三十人が一度に足踏《あしぶ》みをして横を向く時がある。ぐるりと廻る事がある。膝を曲げる事がある。隣りのものが一秒でも早過ぎるか、遅《おそ》過ぎれば
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