く草書です。それも懐素のような奇怪な又|飄逸《ひょういつ》なものではありません、もっと柔らかに、もっと穏やかに、そうして時々粋な所を仄《ほのめ》かすといったような草書です。
 此冗長な手紙が、もし貴方の小説集の序文として御役に立つならば何《ど》うぞ御使い下さい。私は貴方に対する愉快な義務として、それを認めたのですから。
  一月十八日夜
[#地付き]夏目金之助
   木下杢太郎様



底本:「筑摩全集類聚版 夏目漱石全集 10」筑摩書房
   1972(昭和47)年1月10日第1刷発行
※吉田精一による底本の「解説」によれば、発表年月は、1915(大正4)年2月。
入力:Nana ohbe
校正:米田進
2002年4月27日作成
2003年5月11日修正
青空文庫作成ファイル:※底本では、促音、拗音のふりがなは普通の大きさの仮名になっている。(校正者記す)
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