人間には裏と表がある。私は私をここに現わしていると同時に人間を現わしている。それが人間である。両面を持っていなければ私は人間とはいわれないと思う。唯どっちが今重いかというと、人と一緒になって人の後に喰っ付いて行く人よりも、自分から何かしたい、こういう方が今の日本の状況から言えば大切であろうと思うのであります。
文展を見てもどうもそっちの方が欠乏しているように見えるので、特にそういう点に重きを置いて、御参考のために申し上げたような次第であります。
[#地から2字上げ](第一高等学校校友会雑誌所載の筆記による)
[#地付き]――大正二年十二月十二日第一高等学校において――
底本:「漱石文明論集」岩波文庫、岩波書店
1986(昭和61)年10月16日第1刷発行
1998(平成10)年7月24日第26刷発行
※底本で、表題に続いて配置されていた講演の日時と場所に関する情報は、ファイル末に地付きで置きました。
入力:柴田卓治
校正:双沢薫
2001年3月26日公開
2004年2月28日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http:/
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