ある。しかしイミテーションは啓発するようなものではないと私は考えている。
それから、イミテーションは外圧的の法則であり、規則であるという点から、唯|打《う》ち毀《こわ》して宜《よ》いというものではない。必要がなくなれば自然に毀れる。唯、利益、存在の意義の軽重《けいちょう》によって、それが予期したより十年前に自《みずか》ら倒れるか、十年後に倒れるかである。またオリヂナルの方が早く自然に滅亡するか、イミテーションの方が先に滅亡するかであって、大した違いはない。片方だけを悪いとは決して言わない。両方とも各※[#二の字点、1−2−22]《おのおの》存在するには存在すべき理由があって存在しているのである。殊に教育を受ける諸君の如きものに向って規則をなくしたらとても始末が付かない。また兵式体操なども出来ない。子供の内は親のいうことばかり聞いておっても、段々|一人前《いちにんまえ》になって来るとインデペンデントというものは自然に発達して来る。また発達しても然《しか》るべきような時期に到着するのであります。一概《いちがい》に唯インデペンデントであるということを主張するのではないのであります。
けれ
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