て、僕に何か関係があるのか」
「この男がか、この手紙がか」
「どっちでも構わないが」
「君はどう思う」
津田はまた躊躇《ちゅうちょ》した。実を云うと、それは手紙の意味が彼に通じた証拠であった。もっと明暸《めいりょう》にいうと、自分は自分なりにその手紙を解釈する事ができたという自覚が彼の返事を鈍《にぶ》らせたのと同様であった。彼はしばらくして云った。
「君のいう意味なら、僕には全く無関係だろう」
「僕のいう意味とは何だ?」
「解らないか」
「解らない。云って見ろ」
「いや、――まあ止《よ》そう」
津田は先刻《さっき》の絵と同じ意味で、小林がこの手紙を自分の前に突きつけるのではなかろうかと疑った。何《なん》でもかでも彼を物質上の犠牲者にし終《おお》せた上で、後《あと》からざまを見ろ、とうとう降参したじゃないかという態度に出られるのは、彼にとって忍ぶべからざる侮辱であった。いくら貧乏の幽霊で威嚇《おどか》したってその手に乗るものかという彼の気慨が、自然小林の上に働らきかけた。
「それより君の方でその主意を男らしく僕に説明したらいいじゃないか」
「男らしく? ふん」と云っていったん言葉を句
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