う通りの無頼漢《ぶらいかん》だね。観察の下卑《げび》て皮肉なところから云っても、言動の無遠慮で、粗野《そや》なところから云っても」
「そうしてそれが君の軽蔑《けいべつ》に値《あたい》する所以《ゆえん》なんだ」
「もちろんさ」
「そらね。そう来るから畢竟《ひっきょう》口先じゃ駄目《だめ》なんだ。やッぱり実戦でなくっちゃ君は悟れないよ。僕が予言するから見ていろ。今に戦いが始まるから。その時ようやく僕の敵でないという意味が分るから」
「構わない、擦《す》れっ枯《か》らしに負けるのは僕の名誉だから」
「強情だな。僕と戦うんじゃないぜ」
「じゃ誰と戦うんだ」
「君は今すでに腹の中で戦いつつあるんだ。それがもう少しすると実際の行為になって外へ出るだけなんだ。余裕が君を煽動《せんどう》して無役《むえき》の負戦《まけいくさ》をさせるんだ」
 津田はいきなり懐中から紙入を取り出して、お延と相談の上、餞別《せんべつ》の用意に持って来た金を小林の前へ突きつけた。
「今渡しておくから受取っておけ。君と話していると、だんだんこの約束を履行するのが厭《いや》になるだけだから」
 小林は新らしい十円|紙幣《さつ》の
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