つまった津田はこの時不思議にまた好い云訳《いいわけ》を思いついた。
「そりゃいざとなれば留守番なんかどうでも構わないさ。しかし時一人を置いて行くにしたところで、まだ困る事があるんだ。おれは吉川の奥さんから旅費を貰《もら》うんだからね。他《ひと》の金を貰って夫婦連れで遊んで歩くように思われても、あんまりよくないじゃないか」
「そんなら吉川の奥さんからいただかないでも構わないわ。あの小切手があるから」
「そうすると今月分の払の方が差支えるよ」
「それは秀子さんの置いて行ったのがあるのよ」
津田はまた行きつまった。そうしてまた危《あやう》い血路《けつろ》を開いた。
「少し小林に貸してやらなくっちゃならないんだぜ」
「あんな人に」
「お前はあんな人にと云うがね、あれでも今度《こんだ》遠い朝鮮へ行くんだからね。可哀想《かわいそう》だよ。それにもう約束してしまったんだから、どうする訳にも行かないんだ」
お延は固《もと》より満足な顔をするはずがなかった。しかし津田はこれでどうかこうかその場だけを切り抜ける事ができた。
百五十二
後は話が存外楽に進行したので、ほどなく第二の妥
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