の極度はどこかで破裂するにきまっていた。破裂すれば、自分で自分の見識をぶち壊《こわ》すのと同じ結果に陥《おち》いるのは明暸であった。不幸な彼女はこの矛盾に気がつかずに邁進《まいしん》した。それでとうとう破裂した。破裂した後で彼女はようやく悔いた。仕合せな事に自然は思ったより残酷でなかった。彼女は自分の弱点を浚《さら》け出すと共に一種の報酬を得た。今までどんなに勝ち誇っても物足りた例のなかった夫の様子が、少し変った。彼は自分の満足する見当に向いて一歩近づいて来た。彼は明らかに妥協という字を使った。その裏に彼女の根限《こんかぎ》り掘り返そうと力《つと》めた秘密の潜在する事を暗《あん》に自白した。自白?。彼女はよく自分に念を押して見た。そうしてそれが黙認に近い自白に違いないという事を確かめた時、彼女は口惜《くや》しがると同時に喜こんだ。彼女はそれ以上夫を押さなかった。津田が彼女に対して気の毒という念を起したように、彼女もまた津田に対して気の毒という感じを持ち得たからである。

        百五十一

 けれども自然は思ったより頑愚《かたくな》であった。二人はこれだけで別れる事ができなかっ
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