さるんでしょう。もっと露骨なのがお望みなら、まだ露骨にだって云えますよ。あなたは表向《おもてむき》延子さんを大事にするような風をなさるのね、内側はそれほどでなくっても。そうでしょう」
津田は相手の観察が真逆《まさか》これほど皮肉な点まで切り込んで来ていようとは思わなかった
「私の性質なり態度なりが奥さんにそう見えますか」
「見えますよ」
津田は一刀《ひとかたな》で斬られたと同じ事であった。彼は斬られた後《あと》でその理由を訊《き》いた。
「どうして? どうしてそう見えるんですか」
「隠さないでもいいじゃありませんか」
「別に隠すつもりでもないんですが……」
夫人は自分の推定が十の十まであたったと信じてかかった。心の中《うち》でその六だけを首肯《うけが》った津田の挨拶《あいさつ》は、自然どこかに曖昧《あいまい》な節《ふし》を残さなければならなかった。それがこの場合誤解の種になるのは見やすい道理であった。夫人はどこまでも同じ言葉を繰り返して、津田を自分の好きな方角へのみ追い込んだ。
「隠しちゃ駄目よ。あなたが隠すと後が云えなくなるだけだから」
津田は是非その後を聴きたかった。その後
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