点でもあるなら、御遠慮なく忠告していただきたいと思います」
「実はそれで上ったのよ、今日は」
 この言葉を聴《き》いた時、津田の胸は夫人の口から何が出て来るかの好奇心に充《み》ちた。夫人は語を継《つ》いだ。
「これは私《あたし》でないと面《めん》と向って誰もあなたに云えない事だと思うから云いますがね。――お秀さんに智慧《ちえ》をつけられて来たと思っては困りますよ。また後でお秀さんに迷惑をかけるようだと、私がすまない事になるんだから、よござんすか。そりゃお秀さんもその事でわざわざ来たには違《ちがい》ないのよ。しかし主意は少し違うんです。お秀さんは重《おも》に京都の方を心配しているの。無論京都はあなたから云えばお父さんだから、けっして疎略にはできますまい。ことに良人《うち》でもああしてお父さんにあなたの世話を頼まれていて見ると、黙って放《ほう》ってもおく訳にも行かないでしょう。けれどもね、つまりそっちは枝で、根は別にあるんだから、私は根から先へ療治した方が遥《はる》かに有効だと思うんです。でないと今度《こんだ》のような行違《いきちがい》がまたきっと出て来ますよ。ただ出て来るだけならよござん
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