の曲折を経過して来た彼らは、他人より少し複雑な眼をもって、半年前に成立したこの新らしい関係を眺めなければならなかった。
 有体《ありてい》にいうと、お延と結婚する前の津田は一人の女を愛していた。そうしてその女を愛させるように仕向けたものは吉川夫人であった。世話好な夫人は、この若い二人を喰っつけるような、また引き離すような閑手段《かんしゅだん》を縦《ほしい》ままに弄《ろう》して、そのたびにまごまごしたり、または逆《のぼ》せ上《あが》ったりする二人を眼の前に見て楽しんだ。けれども津田は固く夫人の親切を信じて疑がわなかった。夫人も最後に来《きた》るべき二人の運命を断言して憚《はば》からなかった。のみならず時機の熟したところを見計って、二人を永久に握手させようと企てた。ところがいざという間際になって、夫人の自信はみごとに鼻柱を挫《くじ》かれた。津田の高慢も助かるはずはなかった。夫人の自信と共に一棒に撲殺《ぼくさつ》された。肝心《かんじん》の鳥はふいと逃げたぎり、ついに夫人の手に戻って来なかった。
 夫人は津田を責めた。津田は夫人を責めた。夫人は責任を感じた。しかし津田は感じなかった。彼は今日《
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