》うから知ってるわ」
お延の鎌《かま》は際《きわ》どいところで投げかけられた。お秀ははたしてかかった。
「けれども大丈夫よ。延子さんなら大丈夫よ」
「大丈夫だけれども危険《あぶな》いのよ。どうしても秀子さんから詳しい話しを聴《き》かしていただかないと」
「あら、あたし何にも知らないわ」
こういったお秀は急に赧《あか》くなった。それが何の羞恥《しゅうち》のために起ったのかは、いくら緊張したお延の神経でも揣摩《しま》できなかった。しかも彼女はこの訪問の最初に、同じ現象から受けた初度《しょど》の記憶をまだ忘れずにいた。吉川夫人の名前を点じた時に見たその薄赧《うすあか》い顔と、今彼女の面前に再現したこの赤面の間にどんな関係があるのか、それはいくら物の異同を嗅《か》ぎ分ける事に妙を得た彼女にも見当がつかなかった。彼女はこの場合無理にも二つのものを繋《つな》いでみたくってたまらなかった。けれどもそれを繋ぎ合せる綱は、どこをどう探《さが》したって、金輪際《こんりんざい》出て来っこなかった。お延にとって最も不幸な点は、現在の自分の力に余るこの二つのものの間に、きっと或る聯絡《れんらく》が存在してい
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